Meditation zen

私自身、物事を善、悪で区別するあるいは、罪などという言葉で価値観をつけることは、あまり性に合わないものです。
ただ、自分の生き方の方向性があるとして、その真逆の方向性を罪と呼ぶなら、私にとっての最大の罪は、「騙されること。」になるでしょう。
私は、常々、自分自身は、このように生きることができれば楽しいだろう、充実しているだろう、幸せだろうという方向性があり、それをよくこのブログに書かせていただいております。しかし、私は、ある部分、理系出身であり科学的な思考を好む傾向にあります。そのため、その私の人生の方向性における「仮説」に対して、実際の「結果」を大切にします。
で、結果として、そのように実行して、
楽しかったか?幸せだったか?自分は健康になったか?
当院へ来院される患者さんは、まず、私の顔、声、雰囲気を見られて、不健康な感じがされるのであれば、私の仮説は間違っていたわけで、そのまま、診察を受けずに帰宅されたほうが良いかもしれません。
ご足労をお掛けして非常に申し訳ないですが、、そのような事態にならないように、仕事以外の時間も、特に大切にして口にしていることと行動をたえず整えております。
その検証すべき「結果」として、騙されるような私がいた場合、それは、私のどのような状態かといいますと、

本質を実感できていない状態、
自分の分が実感できていない状態、
物事の根本が理解できていない状態、
つまり自分の意識が、覚めていない状態か
隙がある状態なのです。

本質を感じて生きていれば、
地に足つけて生きていれば、騙されることはない。

本質さえ実感することができれば、ぶれない。
頭で、得ていく知識は、その本質を裏付ける役割、武器になっていく。

知識があるかないかで、騙される訳ではないと思います。

「世の中には、表に出にくい利権団体が多くはびこり、知らず知らずのうちに、私達は騙されて搾取されてしまっている。」と見えない不安をあおる人がいますが、そのような見えないものを疑い出したら、ますます不安になり、どのように生きていけばよいか分からなくなります。
騙される自分が悪いと腹をくくり、さあ、どのように生きるか、真剣に考えればよいのであります。
先日、いつもお世話になっている方に、「最近健康情報が多すぎて、なにを信じたら良いのかわからない。このサプリがよいと思って買ったら、結局、騙されているだけかもしれないし、、。」などと、心もとない相談を受けましたが、まさに思考の方向性が、騙される方向へいってしまっているのです。
地に足つけて冷静に、人間の健康とはなにか、普通に考えれば、簡単にわかることです。
結論を言ってしまえば、このブログでは何回も触れてはいますが、
すこし考えれば、人間が健康の状態とは、自然と調和できている状態である。との結論に、たどり着くことができます。
その結論に辿りつけてしまえば、しめたもので、それからの、思考が芋づる式にでてきます。では、どのように調和していくか、一番自分に近い自然はなにか?
それは、自分の肉体であり感覚です。
それが本来あるべき姿はどのような姿か?
少しずつ質問していく中で、自分の感覚が非常に鈍化していることに気がついてきます。
そして、少しずつ感覚を聴き続けてあげることで研ぎ澄まされれてくることがわかります。そのなかで、少しずつ自分の肉体、感覚が自然の波長を取り戻してくるのです。
その方向性がわかってしまえば、いままでに、我々人類が築き上げた科学、医学、はとても叡智の塊であり、非常に心強い武器であることがわかるでしょう。
また、その方向性がわかれば、自分が必要なサプリメントやあるいは、食材は、自然に感覚が教えてくれます。
川の下流にあくせくするのではなく、絶えず上流を見つめる姿勢が大切です。

現在、世界中が混沌として、各国のパワーバランスが乱れ、いわば戦国時代の様相を呈してきている状況です。そのような状況において特にこの考えは必要と考えます。
人それぞれ性格の特徴はもちろんあります。国民全体でみてもその傾向がでることがあります。歴史を紐解くと、我々日本人は、表面上は、騙されやすい国民かもしれません。それは、長所との表裏一体でもありますが、その特徴を私達日本人は自覚することは必要でしょう。

騙されることは罪だと自分の中で少しずつ考えていたとき、たまたまNHKのテレビ番組で映画監督伊丹万作の文章が紹介されていました。
日本を戦争に導いたと言われるA級戦犯の人々に戦争の責任を押し付けようとする、戦後の日本の雰囲気のなか、伊丹万作監督は、「騙された日本国民が悪い。」ときっぱりと、明言されています。勇気がある言動であるし、現代の日本人である私も心して、読みたい言葉と痛感しました。
以下、中略を交え引用致します。
敗戦後の日本人が、「このような悲劇を起こさないために、真剣に反省しよう。」
と誓った反省は、現代の日本に生かされているでしょうか?

全文のリンクは下記に貼らせていただきます。

戦争責任者の問題(全文はこちら。)
伊丹万作

以下、引用

さて、多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。みながみな口を揃えてだまされていたという。
中略

だまされたもの必ずしも正しくないことを指摘するだけにとどまらず、私はさらに進んで、「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」ことを主張したいのである。
だまされるということはもちろん知識の不足からもくるが、半分は信念すなわち意志の薄弱からくるのである。
中略
また、もう一つ別の見方から考えると、いくらだますものがいてもだれ一人だまされるものがなかつたとしたら今度のような戦争は成り立たなかつたにちがいないのである。
つまりだますものだけでは戦争は起らない。だますものとだまされるものとがそろわなければ戦争は起らないということになると、戦争の責任もまた(たとえ軽重の差はあるにしても)当然両方にあるものと考えるほかはないのである。
そしてだまされたものの罪は、ただ単にだまされたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。
このことは、過去の日本が、外国の力なしには封建制度も鎖国制度も独力で打破することができなかつた事実、個人の基本的人権さえも自力でつかみ得なかつた事実とまつたくその本質を等しくするものである。
そして、このことはまた、同時にあのような専横と圧制を支配者にゆるした国民の奴隷根性とも密接につながるものである。
それは少なくとも個人の尊厳の冒涜ぼうとく、すなわち自我の放棄であり人間性への裏切りである。また、悪を憤る精神の欠如であり、道徳的無感覚である。ひいては国民大衆、すなわち被支配階級全体に対する不忠である。
我々は、はからずも、いま政治的には一応解放された。しかしいままで、奴隷状態を存続せしめた責任を軍や警察や官僚にのみ負担させて、彼らの跳梁を許した自分たちの罪を真剣に反省しなかつたならば、日本の国民というものは永久に救われるときはないであろう。
「だまされていた」という一語の持つ便利な効果におぼれて、一切の責任から解放された気でいる多くの人々の安易きわまる態度を見るとき、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感ぜざるを得ない。
だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである。
一度だまされたら、二度とだまされまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。この意味から戦犯者の追求ということもむろん重要ではあるが、それ以上に現在の日本に必要なことは、まず国民全体がだまされたということの意味を本当に理解し、だまされるような脆弱せいじやくな自分というものを解剖し、分析し、徹底的に自己を改造する努力を始めることである。

(『映画春秋』創刊号・昭和二十一年八月)

以上引用。(斜め太字強調は加藤による。)

 

 

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