非常に困難な状況で脳神経外科医に求められる本当の使命とは?北里大学脳神経外科主任教授 隈部俊宏先生第5回
注意:今回の講演ビデオには、実際の手術映像も含まれているため、
苦手な方は、音声だけで聴いていただけますと幸いです。
こんにちは、相武台脳神経外科です。
チャンネルSの番外編市民公開講座としまして、
脳腫瘍に関して、(手術療法にポイントをおいて)
北里大学脳神経外科主任教授 隈部俊宏先生に
前回に引き続き、ご講演いただきます。
今回は、さらに
困難な状況に、
さらされる脳神経外科医
の苦渋の選択の場面を
赤裸々にお伝えいたします。
人類の進化の最先端にいる
専門家の丸裸の勝負を
是非目撃してください。
以下 初回時の 脳腫瘍講座紹介の文章です。
一般の方々が、
脳神経外科と関わる場合、
多くは、頭部外傷や
脳血管障害といって脳梗塞や脳出血に
関する場合だと思います。
ただ、
脳神経外科医の立場からお話させて頂きますと、
一般の方からは、
縁が薄いであろう脳腫瘍の治療に関しましても、
脳神経外科医が取り組んで日夜進歩させようと
努力している非常に重要な分野なのです。
普段の生活では、あまり関わる事がないですし、
もちろん関わらない方がよいのではありますが、
万が一、患者さんが、脳腫瘍を患ってしまった場合、
どうにか満足のいく毎日を送っていただきたいと、
日々、陰ながら、文字通り命を削って、
血のにじむような努力を重ねているのが、
脳腫瘍に関わる脳神経外科医です。
病気が手術で治る、治らないとの、
二元論的な簡単な話ではなく、
(流行している人気のドラマのような
軽薄な世界ではなく、)
その現場には、
生命の神秘には、
遠く力が及ばないながら、
なんとか、
運命にあらがおうとする、
生身の人間である、
患者さんと脳神経外科医との、
とてつもない壮絶なドラマが、実は、
繰り広げられているのです。
もちろん、そのようなドラマは、
一般の方は、
ほとんど、話としても触れる事はないでしょう。
ただ、そのような、厳しい世界の上に、
我々、人類の安全領域が少しずつ、
歴史を重ねるにつれ、
広がってきている事も事実です。
少し、難しい言葉や、
生々しい手術映像などもありますが、
是非何かの折に、ご興味のある方は、
ご視聴頂き、単純に軽い気持ちで
このような世界もあるのかと
感じていただけましたら幸いです。
以上引用
前回までの映像
第1回目はこちら。
第2回目はこちら。
第3回目はこちら。
第4回目はこちら。
第5回脳腫瘍市民公開講座の内容
- 手術時の出血コントロールの方法とは?
- 術野にほとんど血液がみられない理由とは?
- gliomaの手術で一番重要なこととは?
- このような繊細な手術は10年前は一般的であったか?
- 手術を摘出した部分は、再生するか?
- 腫瘍摘出に関して、脳腫瘍とほかの
胃癌などの腫瘍の摘出手術との大きな違いとは? - 脳血管の穿通枝とは?
- 穿通枝とともに脳腫瘍を摘出した場合どのような結果になったか?
- 穿通枝を残して脳腫瘍を摘出した
10ヶ月後のMRI画像はどのようになったか? - 頭のなかには脳脊髄液という透明な液体が灌流しているが、その部分に腫瘍成分が播種するとどのようなMRI画像になるか?
- 脳神経外科医に求められている悪性脳腫瘍の手術目的とは?
治療範囲 | 保険点数 | 自己負担割合 3割 | 自己負担割合 1割 |
身体の深部にある臓器 | 9,000点 | 27,000円 | 9,000円 |
身体の表面に近い臓器 | 6,000点 | 18,000円 | 6,000円 |
悪性脳腫瘍は治療も可能である。それには医師の研究成果と、技術の向上によるものだということがわかりました。境界の見極め、血管を残す技術など、素晴らしいと思いました。どんなに努力しても救えない命もあるなか、決してその命を無駄にすることなく、振り返り、次の命に結びつけて行く姿に尊敬します。
しげとも様 詳細に見ていただき大変感謝です。
血管や神経を巻き込み絡みつく悪性の腫瘍を、丁寧に迅速に取り除く技術は
まさに神業以外の何物でもないと感じました。
患者の生死や後遺症の有無が一人の医師の手中にあると思うと、
失礼な言い方かもしれませんが恐ろしくなります。
ですが当事者でおられるDr.のプレッシャーはいかばかりかと考えると、
ただただ頭の下がる思いが致します。
体力、精神力、技術、使命感、どれ一つを欠いても、名医にはなれない、
想像を絶する大変なお仕事だと改めて感じました。